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廃虚・軍艦島に5万9000人上陸…解禁1年(読売新聞)

 炭鉱で栄えた後、無人となり、廃虚と化したアパート群などが残る長崎市・端島(通称・軍艦島)への一般の上陸が解禁されて22日で1年。

 市によると、解禁から今月20日までに約5万9000人が上陸した。

 海外からの人々やメディアも多数訪問。「島は近代日本の過剰消費の縮図」と警鐘を鳴らす存在としても注目を集めている。

 「軍艦島は私たちの社会の未来の象徴だ。資源を使い果たしたら、私たちも地球を捨てることになるのだろうか」。島をつぶさに見たフランスの建築学校生、ポリンヌ・ル・バスさん(22)(フランス・レンヌ市)はこう感じた。

 島を紹介する雑誌を読み、「歴史的にも建築物としても興味深い」と卒論の題材に選んだ。2月、約1週間の日程で長崎市を訪れ、NPO法人「軍艦島を世界遺産にする会」理事長の坂本道徳さん(56)らの案内で、島に4回渡った。

 「(人に)捨てられる前の島の息遣いが聞こえてくるようだった。炭鉱で働いた人々の過酷な人生を思いやった」とポリンヌさん。廃虚となった建築物へのフランスと日本の認識の違いや島の建造物の歴史などをさらに研究し、卒論の完成を目指している。

 フランス国営テレビは昨年、島を取材。番組をまとめたDVDでは、炭鉱閉山で「最先端の」軍艦島が衰退していった歴史を紹介したうえで、「日本の近代化を夢見てできた島。今までの世代は石炭、石油を使い果たしてきた。これからは先を見て変えていかなければならない。自分たちにとって本当に大事なものを見ていこう」といったコメントが添えられている。

 市によると、島の周囲を巡るクルージングをしたのは約7万3000人で、事前予想の約3倍。米国や韓国、フランス、スウェーデンからも訪れ、「海外からの反応は予想以上」と市文化観光総務課。

 19日、1周年記念の上陸ツアーが行われた。長崎市江平2、NPO法人理事長黒田雄彦さん(64)は「『用が済んだら捨てるという論理は間違っている』と、島が警告しているように感じた」。この1年で国内外の約5000人を案内した坂本さんは「軍艦島は日本人のエゴによって作られた。未来の日本の姿かも」とツアー参加者に訴えた。

 軍艦島の建造物を研究する阿久井喜孝・東京電機大名誉教授は「日本の近代化とは一体何だったのかを知るうえで、軍艦島は重要な存在。様々な視点から専門家が分析してほしい」と期待する。(川口知也)

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